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水のコラム

浄化槽がいっぱいになったらどうなる?排水管のつまりとの違いは?

2022年11月30日 水回り


ご家庭のトイレでトイレ詰まりが発生したことはありますか。トイレトラブルで特に多いのが、このトイレ詰まりです。

トイレ詰まりがおこると、通常通りに水を流せなくなることはもちろん、流した汚物が上がってきてしまう可能性もあります。万が一そのようなことがおこれば、異臭トラブルを引き起こしかねません。

トイレ詰まりの原因として排水管の詰まりが予想されるかと思いますが、詰まりの原因となるのはそれだけではありません。

今回は、浄化槽が原因となるトイレトラブルや排水管の詰まりとの違いについてご紹介していきます。

浄化槽の仕組み

トイレやキッチン、お風呂からは汚染された水が排出されます。その水を何もしないまま公共下水道に流してしまっては、環境が汚染されますよね。

そんな時に活躍するのが浄化槽です。汚染水にはたくさんの有機物が存在します。浄化槽内には、有機物を食べて分解してくれるさまざまな微生物が存在するので、汚染水を処理することができるのです。

浄化槽は、さまざまな種類の微生物が繁殖しやすいような工夫がされています。処理された有機物は泥となって浄化槽の底に沈殿し、浄化槽内は浄化水と泥の2層構造になるのです。自然の力で浄化ができるのはすごいことですよね。

浄化水は、そのまま川や海に流されます。泥となった有機物は、ゴミとして廃棄されます。このように、家庭からでた汚染水は浄化槽によって環境にやさしいかたちで処理されているのです。

一般家庭で使用されている浄化槽は、2種類にわかれます。処理方法別に浄化槽の仕組みをご紹介しましょう。

単独浄化槽
単独浄化槽とは、トイレから出た汚染された水を浄化する専用の浄化槽です。BOD指標と呼ばれる水質汚染のレベルを表す基準があるのですが、単独浄化槽の場合BOD除去率が65%以上、BOD比に関しては1リットルに対して90mg以下と決められています。

単独浄化槽にも製造された時期によって種類がいくつかあります。腐敗タンク型浄化槽、全ばっき型浄化槽、分離ばっき型浄化槽とあり、全てトイレの汚染水だけを浄化する浄化槽です。

現在は浄化槽法が変わり単独浄化槽を販売できなくなったため、実際に見る機会は少ないかもしれません。単独浄化槽はトイレの汚染水だけを処理するため、それ以外の水回りからでた生活雑排水は処理されずに垂れ流されることになります。これは、環境汚染に繋がる重大な問題だとされ、平成13年4月に販売が禁止されました。

合併浄化槽
合併浄化槽は、トイレやキッチン、お風呂場など全ての水回りからでた汚染水を浄化するための浄化槽です。

さまざまな種類の汚染水を処理するため、単独浄化槽よりもBOD指標の基準が厳しくなっています。合併浄化槽の場合、BOD除去率が90%以上、BOD比に関しては1リットルに対して20mgほどなくてはなりません。この値は、下水処理場と同じレベルの浄化率であり、水質汚染による環境への被害を少なくするために必要な条件であるといえます。

浄化槽がいっぱいになるとどうなる?

浄化槽は定期的にくみ取りを行う必要があります。くみ取りというのは、浄化槽内に溜まった泥のような汚染物質をくみ取ることです。

仮にくみ取りを長期間行わず浄化槽が汚物でいっぱいになると、大量の汚物によって異臭が発生してしまったり、汚物が浄化槽内で詰まって正常な動作が行えなかったりします。

また最悪の場合、汚染水が浄化槽内でうまく浄化できず、そのまま川や海に流れてしまう危険性もあります。そのようなことがおこれば、重大な環境汚染に繋がりかねません。環境のために作った浄化槽であるにもかかわらず、浄化槽が原因で水質汚染を生み出してしまっては大変な問題となります。

日本の法律の中には浄化槽法という法律があります。先程少し触れましたが、単独浄化槽が現在販売できないのはこの法に基づいて定められているからです。

浄化槽法の中には、浄化槽を定期的に検査するか一定期間内でメンテナンスを行わなければいけない、と定められています。そのため、浄化槽法の規定を破り長期間メンテナンスを行なっていないと罰せられることになるので気をつけてください。

排水管の詰まりとの違いは?

浄化槽がいっぱいになるとトイレ詰まりをおこすことがありますが、排水管が詰まってトイレ詰まりをおこす時とどのような違いがあるのでしょうか。

排水管の詰まり
排水管の詰まりがおこる原因として考えられるのは、トイレットペーパーの詰まり、水に溶けない異物を流してしまった場合、ティッシュペーパーを流した場合などがあげられます。このような原因に心当たりがある場合は、以下の方法を試してみてください。

・50℃〜60℃のお湯を便器内に流してみる
・ラバーカップ(スッポン)を使って水圧をかけてみる

排水管の詰まりをおこす原因に心当たりがない場合、そもそも排水管の詰まりなのかを確認する必要があります。完全に排水管をふさいでしまうまでは少しずつ水が流れるので、詰まり具合を確認してみましょう。確認するポイントは以下の点です。

・どれくらい前から水が流れづらくなったのか
・水を流してみて、溢れそうになるがしばらくすれば水位が下がるか

数日前から流れづらくなって徐々に流れが悪くなっている場合、排水管に詰まった異物にトイレットペーパーが引っかかり状態が悪くなっている可能性があります。また、しばらく経って水位が戻る場合、排水管詰まりで生じたわずかな隙間を水が通り抜けていると考えられます。

上記2点を確認して当てはまらない場合は、浄化槽が原因であると考えましょう。

浄化槽が原因のトイレ詰まり
浄化槽が原因でトイレ詰まりが発生した場合も、排水管詰まりが原因の場合と同じような現象がおきます。基本的には、水を流しても汚物が流れなかったり、水があふれかえってきてしまう現象です。

排水管詰まりの確かめ方を確認して問題がなければ、自宅近くのマンホールを確認してみてください。マンホールを日常的に開けることはないと思いますが、マイナスドライバーやバールを使えば簡単に開けることができます。

自宅周りのマンホールを全て確認し全て満水だった場合は、浄化槽の詰まりが原因となります。一部満水ではないマンホールがあった場合は、満水のマンホールとの間で排水管詰まりがおこっているとわかります。

浄化槽が原因だとわかったら、自分で修理を行うことはできません。すぐに業者に依頼するようにしてください。

なぜ自分では解決できないのかというと、浄化槽は定期的に業者によってくみ取りを行ってもらう必要があり、個人でのくみ取りは不可能だからです。また、くみ取りを行う際に機械や機器類のクリーニングも行う必要があります。

このような作業は浄化槽法で定められており、浄化槽が原因で詰まりがおこることは異常事態です。そのため、浄化槽がいっぱいになってしまったら、すぐに専門業者に問い合わせましょう。

まとめ

浄化槽がいっぱいになってしまうとどうなるのか、お分かりいただけましたでしょうか。

分解されて沈殿した汚物が蓄積されていくことで、トイレ詰まりを引き起こすだけではなく、異臭発生や水質汚染にも繋がってしまいます。このようなトラブル自体がおこらないために定期的にメンテナンスを行うよう定められているので、浄化槽がいっぱいになってしまうようなトラブルが発生した際にはすぐに業者へ問い合わせるようにしましょう。

そもそも、浄化槽が自分の家に設置されているのかどうかも知らない人が多くいるかと思います。浄化槽がないと、台所やお風呂場、トイレからでた汚染水はそのまま川や海へ流されることになるので、とても大事な役割をしているのです。

今回この記事を読んだことをきっかけに、ご自宅の浄化槽を確認してみましょう。そして、変わったトラブルはないか、正常に機能しているか確認してみるのもいいかもしれません。

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